生活期との連携はいつから[3]~当院の現状と課題~

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
前回(院長ブログ2016年8月15日「生活期との連携はいつから[2])で連携体制への取り組みについてお話ししました。
現在当院では、タイトルの問い「生活期との連携はいつから?」に対し、入院後2週目の初回カンファレンスからとしています。そのカンファレンスで、退院後の生活目標を設定する時から、退院後の生活を考え始めます。入院中のクリニカルパスの作業工程は、よく家作りに例えられますが、言わば我々は、家作りをしながら、家を建てた後そこで営まれる生活を同時に考えていることになります。これは難しいことですが、とても大切なことだと考えます。
もう1つは「生活期リハの適応」をどのように考えるかです。病棟ではよく「退院後のリハが必要かどうか?」、という話になります。でも考えてみてください。退院する前の日まで3時間近くのリハビリを行っていた人が、退院する日から急にリハビリが不必要になるでしょうか?不必要だと思う人は、リハ=個別訓練・サービスのみ、と非常に狭く捉えているからかもしれません。私はほぼ全員に継続した訓練が必要になると思っています。それを自主トレで行うのか、家族と一緒に行うのか、個別リハを保険で行うのか、デイサービスに通って行うのか、やり方は人それぞれです。
退院後サービスプランを考える前に、まず退院後は何が必要になるのか?リハ・ケアの計画と、それを達成するための週間スケジュールに分けて考える必要が出てきます。先ほど述べた当院の「退院後のリハ計画を立てるためのシート」は、それらの項目を分けて設けています。
このように、我々のソフトランディングへの取り組みは、もう10年以上になります。時間をかけて少しずつステップアップしていると思いますが、課題も山積みしています。
 現在は入院2週間目から退院後のことを考え始めますが、生活期にその情報が伝わるのがまだまだ遅く、十分伝わっているとは思えません。また生活期のリハは、入院中のリハとは異なります。生活期を知らない人が回復期のリハビリだけのイメージで「不必要」と考えるのは間違っていると思います。もっと広い「生活」という視点を持って頂き、早く情報を伝え、生活期と一緒に必要性や目的を考える体制になっていって欲しいと思います。
当法人の連携の定義は、「お互いに情報を共有してアクションを起こすこと」です。情報を待つのではなく、自分から取りに行き、得た情報は確実に伝え、その情報をもとにアクションを起こすこと。それがスタッフの能力です。そしてその中に患者さんやご家族を引き入れるのがチームの能力です。ソフトランディングの取り組みに終わりはありませんが、退院後の生活が少しでもスムーズに開始できるよう、職員全員で今後も取り組んでいきたいと思っています。