支える医療

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先日あるリハビリの研究大会に参加しました。その中で、「在宅患者さんに対するリハビリ専門職の立ち位置(スタンス)は、患者さんに“向き合う”というより、“寄り添う”という表現の方が近い。“寄り添う”というのは、“進む方向を一緒に見ながら、傍で支えること”」という話がありました。
現在は「慢性疾患」の時代と言われます。医療技術の発達でそれまで治らなかった多くの病気が治るようになった一方、高齢化に伴い、脳卒中や癌、認知症、骨折、肺炎、心疾患、などの慢性化しやすい病気が次第に増えてきました。これらは要介護状態の原因疾患となり、症状の安定や改善のためには、後遺症に対するリハビリやケア、症状を和らげる緩和医療が必要となります。これらは病気を直接治すものではありませんが、病気や障害を抱えながら暮らすためには必要です。特に病気の予防やリハビリを含む健康の維持には、本人の「努力」が必要となります。

「家ではリハビリが続きません」、「甘いものが我慢できません」、「お酒を飲んでも良いですか?」。患者さんと話をしていると、「そうだよなあ」と思うような、いろいろな「声」を聞きます。我々は自分にできない努力を患者さんに強要するのではなく、また何でも手を添え介助してあげるのでもありません。支える側の我々は環境を整え、本人が「やる気」になるよう仕向けながら、じっくり待ち、共に歩む姿勢が必要となります。これからの医療は、病気になった患者さん自らが「生き方」を決め、「こういうサポートをして欲しい」と自己選択をするように変わっていくでしょう。そのためには、健康の維持や病気の予防、そしてリハビリについての「教育」を、病気になる前、もっと言えば学生のうちから始める必要があるのではないでしょうか。医療が変わっていく中で、我々が地域社会で果たすべき役割や考え方も変えていかなければならないでしょう。

 

患者さんと話をしていると、「先生最近顔が疲れていますよ」と気遣いを受けたり、「最近リハビリをこんなに頑張っています」と報告を受けこちらが元気をもらったりすることがあります。こちらが支えているつもりで、逆に患者さんから支えられていることもあるのかもしれません。