目標を持つ
ごあいさつ
西広島リハビリテーション病院
病院長
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先月に引き続き、「目標」の話をしたいと思います。
先日外来の患者さんから、豪華客船のツアーに参加してきた、という話を伺いました。旅行中はおいしい食事やパーティーなどに車いすで参加でき、とても満足して帰って来られました。しかし参加前はトイレが一番心配だったそうです。バリアフリーの部屋があると言っても船内なので、自分の良い位置に手すりが付いていたり、介助者が入れる十分なスペースがあるとは限りません。その患者さんは、ツアーに参加するために、トイレでの立ち上がり動作やズボンを上げ下げする動作を必死で練習して、それがとても役に立ったそうです。目標が達成できた患者さんとご家族は、自信に満ちた表情をされていました。
先日外来の患者さんから、豪華客船のツアーに参加してきた、という話を伺いました。旅行中はおいしい食事やパーティーなどに車いすで参加でき、とても満足して帰って来られました。しかし参加前はトイレが一番心配だったそうです。バリアフリーの部屋があると言っても船内なので、自分の良い位置に手すりが付いていたり、介助者が入れる十分なスペースがあるとは限りません。その患者さんは、ツアーに参加するために、トイレでの立ち上がり動作やズボンを上げ下げする動作を必死で練習して、それがとても役に立ったそうです。目標が達成できた患者さんとご家族は、自信に満ちた表情をされていました。
外来で患者さんと話をしていると、「今度生まれて来る孫をこの手で抱いてみたい」、「東京オリンピックをこの目で見たい」、「リニアモーターカーに乗りたい」など、夢や希望のある話を沢山聞きます。突然の病気により障害を負った後、再びこのような目標を人に言えるようになるまで、どれほどの時間や苦労が必要だったのだろうと思います。
突然の病気で障害を負うと、身体だけじゃなく心も傷つきます。心が傷ついた患者さんから、どうやって主体性を引き出すのか?以前リハビリクリニックをやっている先生に聞いたことがあります。「本人がその気になるまで、傍でじっくり待つんだよ。失語症のためにコミュニケーションが難しく、家でふさぎ込んでいたこの患者さんは、人前に出られるようになるまで10年かかった。」と私に教えてくださいました。
患者さんが、自分で目標を見つけ努力できるようになるまでは、機能を高めるリハビリだけでなく、生活能力や周囲の環境を整え、患者さんの「居場所」や「出番」を作りながら、少しずつ主体性を引き出すよう関わること、すなわち目標が「持てる」ようになるためのサポートが必要です。そして、自ら目標が持てるようになったら、今度はその目標が「実現できる」ようサポートしていきます。
リハビリテーションの語源である「habilis(ハビリス)」は、簡単に言うと「~らしい」という意味の言葉ですが、病気になっても「その人らしい」生活が送れるよう、その時々の目標を共有しサポートすることがリハビリの役割でしょう。