ケアマネジメントの質[2]
ごあいさつ
西広島リハビリテーション病院
病院長
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
前回(院長ブログ2015年3月「ケアマネジメントの質[1]」)、今から10年前の大学病院に勤めている時、ケアマネジャーがリハビリを広く・深く理解しマネジメントを行うことで、ケアプランの質が上がると実感した出来事について書きました。
その後、「在宅におけるリハビリ」について、ケアマネジャーさん達がどのくらい知識があり、どのように考えてプランを立てているか知りたくなり、アンケート調査を行うことにしました。調べてみると、大学病院がある市に居宅介護支援事業所が15ヵ所ありました。事業所に直接足を運びアンケートの趣旨を伝えると、皆さんとても歓迎してくれました。また本音をたくさん聞くことができ、病院の敷居が高いと感じている人が多いことに驚きました。
調査結果から、在宅のリハビリに関して、
- リハビリに関する情報伝達が直接行われる機会は多くないが、ケアプランの作成にはその情報が有用。お互いに「顔の見える連携」、特にカンファレンスの開催が望ましい。
- リハビリの専門用語は知られておらず、評価も主観に頼らざるを得ない状況。情報交換や担当者変更時に共通認識が持ちづらい。
- 基本動作や歩行訓練が多く、日常生活の動作能力を高める訓練や認知面へのアプローチが少ない。
- 「現場で活きる情報(具体的なリハビリの内容や退院後の活動目標)」が少ない。
ということが分かりました。私は学会で「より良い連携構築のために、我々医療機関のスタッフは、在宅リハの現状を知ることが必要」と報告しました。
「平成27年度介護報酬改定」の資料を見ていると、リハビリカンファレンスが形骸化しリハビリマネジメントが出来ていない、リハビリ内容が機能訓練に偏っており活動や参加を高めるアプローチになっていないなど、10年前と同じようなことが指摘されていました。
今回の改定で、ケアプランへの医師の関わりが強化されましたが、考えてみると当然のことのように思います。高齢の障害者は個別性が強く、能力の低下には医療的な変化が絡んでいることが多いのです。リハビリを含めた老年医療に精通した医師が「本気」で関わらないと、そのケアマネジメントの質は決して高くならないでしょう。
今回の改定で、ケアプランへの医師の関わりが強化されましたが、考えてみると当然のことのように思います。高齢の障害者は個別性が強く、能力の低下には医療的な変化が絡んでいることが多いのです。リハビリを含めた老年医療に精通した医師が「本気」で関わらないと、そのケアマネジメントの質は決して高くならないでしょう。
医師が多職種のカンファレンスに直接参加し、各担当者の評価を基にアプローチ内容を検討し、皆で実現可能な目標を設定する。そして今後の計画を立て、それを医師が本人・ご家族に説明する。介護保険と同期して制度化された回復期リハビリでは、2週~1ヶ月ごとに当たり前のように行われているこのサイクルが、現在の介護保険リハビリではうまく回っていません。医療であれ介護であれ、「保険」で行われるリハビリに求められることは変わりません。ケアマネジメントの質向上に向け、努力の方向が見えてきました。