回復期リハビリ病棟の原点(2) ~ケア10項目宣言~
ごあいさつ
西広島リハビリテーション病院
病院長
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
前回、「回復期リハビリ病棟の原点~手をかけて良くする~」についての続きになります。
質の良いリハビリテーション病棟はたくさんのマンパワーを必要とします。生活の自立支援を行うための職員をたくさん配置し、それが採算の合う病棟にするために、石川先生は厚生省にデータを出して働きかけようとされておられました。当院もデータ収集に協力し、その努力がやっと実ったのは、それから10年以上後の平成12年(2000年)、「回復期リハビリ病棟」の創設です。
前理事長は平成9年に亡くなりましたが、その後回復期リハビリ病棟が発展し、広島県の組織ができ、全国で7万5千床を超えました。診療報酬では、回復期リハビリ病棟の基準がたくさん設けられてきました。医師・看護師・療法士をはじめとした専門職員の配置、対象となる病気、発症から入院までの日数、入院の期間、重症者の割合、リハビリの時間、365日の体制など。
しかし歴史を振り返ってみると、この「ケア10項目宣言」にある「リハビリテーション・ケア」がきちんと出来ているかどうかが、一番重要であることに気付きます。
- 食事は食堂やデイルームに誘導し、経口摂取への取り組みを推進しよう
- 洗面は洗面所で朝夕、口腔ケアは毎食後実施しよう
- 排泄はトイレへ誘導し、オムツは極力使用しないようにしよう
- 入浴は週2回以上、必ず浴槽に入れるようにしよう
- 日中は普段着で過ごし、更衣は朝夕実施しよう
- 二次的合併症を予防し、安全対策を徹底し、可能な限り抑制は止めよう
- 他職種と情報の共有化を推進しよう
- リハ技術を習得し看護ケアに生かそう
- 家族へのケアと介護指導を徹底しよう
- 看護計画を頻回に見直しリハ計画に反映しよう
<回復期リハビリ病棟のケア 10項目宣言>(2003.9.20)
その後時代は移り変わり、回復期リハビリ病棟は地域包括ケアシステムの中での役割を考えていく必要が出てきました。石川先生は講演で、在宅ケアでは、プライマリー・ケア、ターミナル・ケアと合わせリハビリテーション・ケアが重要である、というお話をされていました。リハビリの専門医、リハビリ看護・介護のスペシャリスト、生活の自立支援の視点を十分に勉強した療法士を中心に、回復期リハビリでチームアプローチを十分に経験したスタッフ達が、地域の在宅ケアで「リハビリテーション・ケア」を実践できるよう、しっかりと育てていきたいと思います。