違いを認め合う
ごあいさつ
病院長
今年は夏から秋にかけて、病棟や外来部門の懇親会が催され、私も参加してきました。このような機会は5年ぶりのことです。皆に笑顔が溢れ、本当に楽しい時間を共に過ごすことができました。中には「学生の頃からコロナウイルスによる自粛生活だったので、大勢でのこのような場は初めてです。楽しいですね。とても新鮮でした。」と言っている職員もいました。
このような、いわゆる「飲み会」の翌日から、なぜか仕事が上手く回ることを何度も経験してきました。学生の頃の文化祭や部活の合宿などの後もそうでした。
例えば文化祭が近づくと、普段喋らないクラスメートなどと一緒に作業をします。初めはバラバラですが、準備のため多くの時間を一緒に過ごす中で、「あいつ、こんなに面白いヤツだったのか」と普段の学校生活では分からない一面をお互いに見ることで一気に皆が団結していく、というようなことがあります。きっと多くの方が、このような経験をされたことがあるのではないでしょうか。開催前日の何とも言えない高揚感や一体感は、まさしく「チームの醍醐味」であり、共に苦楽を乗り越えて成し遂げた充実感や達成感が、団結力を生み出していくのでしょう。
しかし、仲が良くなることが必ずしもチームの成功を保証するわけではありません。元サッカー日本代表監督の岡田武史は、次のように述べています。
強いチームにはまとまり、つまり一体感があるからといって、チームを作る時に一体感から入ると大体失敗する。チームにとって一番大事な目標に向かうことより、仲良くなることが目的になってしまうからだ。
日本の教育って人は皆同じ、というところからスタートする。でも、顔も違うし、身長も違うし、性格も価値観も皆違う。「あいつ、いつも口うるさいけど、いざという時頼りになるよな」とか、「あまり喋らないやつだけど、頼まれた事は確実にやってきてくれるよな」など、チームや組織が一つの目標に向かって結果を求めていく中であれば、それぞれが持つ性格や特徴などの違いを認め合うことができる。お互いを認め合い、力を合わせていって結果が出だすと、だんだん一体になってくるんだよ・・・。
これらは何も懇親会などの「非日常」な機会だけではありません。食事の場であったり、仕事時間前後のちょっとした雑談であっても出来ることです。また「おはよう、元気?」「今日はどう?」というような、ちょっとした挨拶などの感情の共有からでも良いと思います。お互いの存在を認め、違いを認めること。日々のこういったコミュニケーションの積み重ねこそが、チーム全体の結束を深め、困難を乗り越える力を生み出すのだと感じます。