データの重要性[2]

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
前回、「退院患者統計」についてお話しした続きになります。
毎年正月から、前年に退院された全ての入院患者さんのデータチェックを始めます。全部チェックし、入力し終えてから診療実績をまとめます。完成までに数ヶ月を要する作業です。なぜ元院長がこの作業を続け、私に引き継いだか最近よく分かるようになりました。
まず病院全体を把握するのに、とても役に立ちます。患者さん全員のデータをチェックしないと、統計資料は作成できません。また他人が作ったデータを見聞きしても、頭には中々残りませんが、自分で作業をすると、全体の割合、平均値、などの数字が必ず頭に残ります。不慣れな私が全体を把握するのに適していると思われたのでしょう。さらにその入力データから、職員の頑張りや苦労が見て取れます。
次に治療成績を「全て」外部に公表するということです。もちろん病院には治療成績を一般に公表する義務はありません。しかし都合の悪いデータを出さず、良かったデータだけ公開していると、それは“カビ”や“バイキン”の温床になります。情報も天日干しのように白日の下にさらす必要があります。毎年の情報開示にはそういう理由も含まれています。学会発表や論文で発表されるデータは、発表者の主張が分かりやすくなるよう、それらのデータを対象外として除外することがあります。しかし、普段の診療に「対象外」はあり得ません。
さらに「毎年」その結果を振り返ることで、さらなるリハビリの質向上や、紹介してくれた病院との信頼関係向上につながると考えています。
 最後にリハビリの専門ではない医療・介護の関係者や、患者さん・ご家族が見ても分かるようなグラフにすることです。学会発表や論文とは目的が異なりますので、実際はこれが一番難しく感じます。この作業を引き継いでから、新聞や雑誌、他の機関の広報誌等に掲載されているグラフの表現方法や色使いが目に留まるようになりました。特に新聞や雑誌のグラフはとても分かりやすく工夫されています。いつかはあのレベルを目指していきたいと思っています。
10年以上前になりますが、新聞のリハビリテーション病棟の特集で「情報公開度はナンバー1」と書いて頂いたこともありました。当時はまだ珍しかったかもしれませんが、現在は頼みもしないのに急性期病院はランキング化され、週刊誌に掲載されています。回復期のリハビリも例外ではなく、それが当たり前の時代になってきています。
病院の透明性を高めることは、最終的に患者さんの利益につながります。どこから見られても恥ずかしくないよう、皆で頑張っていきたいと思います。