地域生活に思いを馳せる

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先月、6月24日~25日に、当法人の介護老人保健施設(老健)花の丘で、毎年恒例の「作品展」が開催されました。老健の入所・通所のご利用者さんの作品を展示する会としてスタートしましたが、年々規模が大きくなり、最近では短時間通所リハビリや訪問リハビリ、さらには当院の入院患者さん方も出展してくれるようになりました。
その名前の通り、会場にはとても綺麗な花の飾り付けがなされ、展示を盛り上げてくれました。絵、書、刺繍など各作品のレベルは高く毎回驚かされることが多いのですが、一昨年はその作品が、作業療法の学術専門雑誌(OTジャーナル)の表紙を2ヶ月連続で飾りました。作品展のためにわざわざ来てくれる人も多く、今年は2日間で193名もの来場者がありました。
それぞれの作品から、各々の頑張りが伝わってきました。思うように動かない不自由な身体で、あのような素晴らしい作品をつくれるようになるためには、身体も心もどれだけの時間が必要だったことでしょう。わざわざご家族と遠くから作品を見に来られた退院患者さんとお話しながら、退院後の苦労や現在の生活など、いろいろなことを想像しました。入院中の患者さんも多く見に来られていましたが、「頑張ればこのようなことができるようになるよ」、「目標を持って頑張ろう」、というエールになったと思います。
その日の夕方、栄養課の厨房で働いているスタッフが、たくさん見に来てくれていました。いつも一生懸命に入院患者さんや入所・通所のご利用者さんの食事を作ってくれていますが、当法人の中で直接ご本人にお会いする機会が一番少ないはずです。直接知っている・いないに関わらず、それらの作品を見に来てくれたことをとても嬉しく感じました。実際に作品を見て感じなければ、その苦労や思いを想像することができず、またご本人に心から声をかけることができないでしょう。普段の心がけや教育ができているのだと感心しました。
医療保険も介護保険も、来年度の改定に向けて本格的な議論が始まり、リハビリの「質」についても様々な意見が出ているようです。しかしリハビリの質は報酬で求められていることだけではありません。むしろそれ以外をどうしていくかということに、本当の質があるのではないかと思います。