ピンピンコロリ(3) ~伸ばそう!健康寿命~
ごあいさつ
西広島リハビリテーション病院
病院長
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先日、仙台で秋のリハビリ学会が開催され、参加してきました。学会のテーマは、「Adding Life to Years and Years to Life」でした。これはリハビリ医として有名なハワード・ラスク(もしくはその師であるモリス・ピアソル)の言葉といわれる、「Not only to add years to life,but also to add life to years」から来ているのでしょう。「人生に年月を継ぎ足すだけでなく、年月にいのちを与える」という意味です。
医学の研究では生命予後の改善、例えばガンの治療では、その治療によりどのくらい長く生きられるようになったか、ということが重視されてきました。しかし冒頭の言葉は、「手術や治療で伸びた年月に、生きがいや希望を与えるのも大切である」ということを語っています。特に我々が行っているリハビリは、まさにこのためにあると言えるでしょう。
医学の研究では生命予後の改善、例えばガンの治療では、その治療によりどのくらい長く生きられるようになったか、ということが重視されてきました。しかし冒頭の言葉は、「手術や治療で伸びた年月に、生きがいや希望を与えるのも大切である」ということを語っています。特に我々が行っているリハビリは、まさにこのためにあると言えるでしょう。
広島県では、いわゆる寿命である「平均寿命」は男女とも長いにも関わらず、介護なしで生きている期間を指す「健康寿命」は男性27位、女性はなんと最下位です。つまり平均寿命と健康寿命の差が全国的にみて大きく、広島県はこれを問題視し、ガン対策や疾病予防とともに健康増進にも力を入れています。特に県民自らが行う健康づくりに対しては、昨年から「ひろしまヘルスケアポイント」を開始しました。健診などの受診だけでなく、スポーツジムの利用やウォーキングなどの「運動」、体重の維持や健康的な「食事」の記録、そして健康イベント等への「参加」などにそれぞれポイントを設定し、ポイントが貯まると商店街などの協賛店で使える買い物ポイントがもらえます。まさに県をあげてピンピンコロリ(PPK)に取り組み始めました。
先月、マツコ・デラックスさんが司会を務めたNHKスペシャル「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」の第三回が放映され、テーマが「健康寿命」でした。全国の41万人の高齢者のデータを基に、PPKで人生を終えた人と、そうでない人は何が違うのかをAIに解析させました。例えば「ジョギングが好き」という質問で“YES”と答えた人が、その他のどの質問に何人YESと答えたかを調べ、そのつながりの強さを数値にする方法です。
600以上の質問、10年間の追跡調査、機械学習を組み合わせ、膨大なデータからAIが導き出した一番の違いは、「本や雑誌を読む/読まない」という質問でした。「本や雑誌を読む」と答えた人は、食事、運動、社会参加などと関連するキーワードと多く結びついていました。
600以上の質問、10年間の追跡調査、機械学習を組み合わせ、膨大なデータからAIが導き出した一番の違いは、「本や雑誌を読む/読まない」という質問でした。「本や雑誌を読む」と答えた人は、食事、運動、社会参加などと関連するキーワードと多く結びついていました。
スタジオでは「意外だ」という声も聞かれましたが、「本や雑誌などをよく読む」ということは、いろいろなことに興味を持ち、外部とつながり、行動するきっかけを与えてくれるのでしょう。そういえば、健康食品や通販機器に興味のある人達は、何となく元気な人が多いような気がします。番組では健康寿命が上位である山梨県の事例が取り上げられていました。戦後早い時期から小学校に学校司書(図書室専門の職員)を配置して読書に力を入れ、図書館数が全国1位、そして高齢になっても読書の習慣が続いているため、図書館を訪れる人が多いそうです。
今の高齢者は本や雑誌から情報を仕入れ、もっと調べるためには本屋や図書館に出向き、その情報を直接人と会って交換し、直接確かめに出向くでしょう。しかし最近は、新聞や本・雑誌の売り上げが落ち、活字離れが叫ばれています。自宅に居ながら、インターネットのみで情報収集や情報交換が可能です。それに慣れている現在の若者が高齢者になる頃、この結果はどうなっているのでしょうか?