ウェルネット記念日(2)~老健の役割

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
4月1日に新しい元号「令和」が発表されました。世間では好意的に受け止められているようですが、果たしてどんな時代になるのでしょうか?中学1年生の冬、前回の「平成」が発表されたのを懐かしく思い出します。
 その頃「治療」といえば安静が第一で、リハビリ医療は無いに等しく、病院内でたくさんの“寝たきり”が生み出されました。切迫する高齢化や財政問題、在宅での介護力不足や住宅事情への対策として、国は「病院と福祉施設との中間的な機能を持ち、在宅復帰を主眼に置いた施設」、すなわち「老人保健施設(老健)」を創設しました。全国7ヵ所のモデル事業を経て、1988年から老人保健法の中で開始されました。
 それから4年後、当法人が医療・介護・予防(健康増進)の複合体「ウェルネット(WEL・NET)」として再出発した時、老健「花の丘」をオープンしました。リハビリはおろか、介護保険制度も無かったこの時代、まさに手探りのスタートでした。
2000年に介護保険制度が開始され、老健は「介護老人保健施設」と名称が変更されました。
同時に、急性期病院から患者さんを受けて在宅復帰を目指すための「回復期リハビリ病棟」が出来たことで、その中間的施設の意味合いも変わってきました。
 回復期リハビリが少ない地域では、その代わりの「自宅復帰」を目指す役割が強くなり、一方で充足している地域では、自宅に戻ることが難しい方が、居住系の施設(特養など)に入るまでの「中間的」施設の色が濃くなりました。
幾度も時代の荒波を越え、回復期リハビリ病棟の約5倍、40万床にまで増えた現在の老健は、医療・看護・介護・リハビリの機能を持ち、入院と自宅・施設(在宅)を繋ぐ、地域のハブ施設の役割を担っています。
 「花の丘」では以前と比べ、訪問・通所のリハビリなどで当法人のサービスに馴染みのある人をよく見かけます。以前のように自宅か入所か、という2択ではなく、介護度が重くなってきても、集中的なリハビリを兼ねて老健の入所やショートステイを時々利用しながら自宅生活を過ごす、という第三の選択肢になりました。
 また老健では、最後を過ごす場所、いわゆる「看取り」の希望が増えつつあります。昔は老健でお亡くなりになるのはネガティブなイメージがありました。しかし最近では、「自宅ではとても看取ってあげられなかった。ここだとリハビリをしながら多くのスタッフに囲まれ、最期まで寂しくなかったと思う。ありがとう。」とご家族に言われるようになりました。老老介護や共働きが増え、社会の意識も変わってきているのでしょう。やはりリハビリは地域生活を支えているのだと実感します。
在宅復帰機能から、在宅生活を支える役割に。令和の時代も、老健は時代のニーズに応えながら変化を続けることでしょう。
これからも花の丘をどうぞよろしくお願いします。