挑戦と継承

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
日本中が興奮と感動に包まれたラグビーワールドカップ日本大会が終了しました。日本代表の快進撃に声を枯らして応援し、またラグビー先進国の華麗な技や力強さにも魅了されました。しかしこれだけ盛り上がったのは、ラグビーというスポーツの持つ素晴らしさが多くの人に伝わったからではないでしょうか。
その1つはラグビーのOne for all,All for one という自己犠牲の精神。ギリギリまで相手を引きつけ、時には相手のタックルを受けながら味方にパスをつなぐ。1m前に進むのに、何度も何度も犠牲になりながら、怪我で動けなくなるなるまでそれを繰り返す。仲間のために体を張り、自分が犠牲になることを厭わない。そんな選手の姿を目の当たりにしました。
 また、野球やサッカー、私がやっていたアメリカンフットボールには、「エース」と呼ばれる選手がいます。しかし、ラグビーにはエースと呼ばれるプレーヤーはいませんでした。どれだけ苦しくても、控え選手を含めた全員が味方のためにプレイしないと決して勝てず、個人主義が蔓延する時代に、チームスポーツの素晴らしさを再認識させてくれました。
 そういう意味では、これまでずっと自己犠牲に専念し、仲間の前進のためにチームを支えてきたプロップ稲垣選手がスコットランド戦で見せた代表初トライは、このチームを象徴するベストトライだった気がします。相手のタックルを受けながら味方にボールをつなぐオフロードパスの連続で、初のベスト8を手繰り寄せたこのシーンは、名場面としてずっと語り継がれていくことでしょう。
今回の大会に合わせて三井住友銀行が作った「ラグビー日本代表 挑戦と継承」という30秒くらいのコマーシャル動画があります。
日本のラグビーは、宿澤のパスを継承する。宿澤から森へ。松尾へ。そして、平尾へ。世界の壁は高く、ひとりの前進は小さい。しかし、その挑戦を重ねない限り、たどり着けない未来がある。
挑戦するものたちが、世界を変える。
これまでの日本ラグビーの苦難の歴史を思い浮かべ、最後に福岡選手がトライするシーンが今回の日本代表の活躍に重なり、とても感動的な動画です。
11月4日は当法人の33回目の開業記念日。私にはこの動画が当法人の歩みに重なって見えました。当法人が今あるのも、開業以来その時代の人達がパスをつなぎ、一歩一歩進んできた結果です。当法人が継承してきたリハビリには、長年の魂が込められている気がします。
『信じあい、明日を拓く』。この魂を我々は理念と呼び、「One for all,All for one、ひとりの前進は小さいが、その挑戦の積み重ねで未来を拓く」という、ラガーマンだった初代理事長の精神が込められていることに、今回初めて気が付きました。
 このことを忘れずに皆でスクラムを組んで前進していけば、次のワールドカップが開かれる頃には、我々はもっと良いチームになっているでしょう。