ロジ班のレジェンド達たち(1)

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピックをはじめ、様々なスポーツが延期や中止を余儀なくされました。プロ野球は6月中旬にようやく開幕し、それから遅れること2週間、7月からサッカーJリーグが開幕しました。現在、地元サンフレッチェの調子は今ひとつですが、今年のJリーグの主役は、何と言ってもJ1の舞台に復帰した“キング・カズ”こと元日本代表FWの三浦知良選手でしょう。8月にJリーグカップに先発出場し、最年長出場記録を更新しました。なんと53歳5ヶ月だそうです。私が高校生の時にJリーグが始まりましたが、その時の大スターが、今も現役で頑張っている姿はまさに“レジェンド”です。
日本のスポーツ界でこの“レジェンド”という言葉が使われ始めたのは、2014年のソチ冬季オリンピックの前、スキージャンプの葛西紀明選手からと言われています。引退年齢をとっくに超えたはずの葛西選手(当時42歳)がワールドカップで大活躍し、衰えるどころか逆に進化していく姿に、海外メディアが尊敬の念を込めて“Legend”の称号を与えました。その勢いでオリンピックの個人ラージヒルで銀メダルを獲得し、日本のメディアもこぞって“レジェンド”の名称でその活躍を讃えました。それ以降日本のスポーツ界では、この言葉を「生きた伝説」のような意味を込めて使うようになりました。
昨年末、NHK BSで「レジェンドの目撃者」という特集番組が放送され、第一回のゲストは三冠王を3度獲得した落合博満さんでした。いつもながらの鋭い視点で本質をついたコメントが多く、観ていて面白い番組だったのですが、最後に「それでは落合選手、あなたにとってのレジェンドは誰ですか?」と質問がありました。「あー多すぎる」、そう答えた落合さんの言葉から、私はてっきり川上哲治さんや、長嶋茂雄さん、野村克也さんあたりの名前がたくさん出ると思っていました。でも答えは予想外なものでした。

「我々の世界では、ある程度の数字を残して歳をとったら“レジェンド”って呼ばれるかもしれないけど、これを支えてくれた人達にはとてつもない人が多い」とバッティングピッチャーをはじめとした裏方の人達を挙げました。「すごい人がいっぱいいる。この人達にどれだけ助けてもらったことか・・・」と、感謝を込めてエピソードを語り始めました。落合さんの著書を数冊読んだことがありますが、これは初めて聞く話ばかりでした。普段は表舞台には出てきませんが、聞けば確かにとてつもない技術の持ち主達です。落合さんが“自分にとってのレジェンド”と評価される理由が分かります。

私はレジェンドという言葉をマスコミがすぐ使うのが好きではありませんでしたが、この落合さんのコメントを聞いてから、印象が変わりました。そう考えると当法人には、医療・介護の現場を支えてくれる、確かな技術を持った“レジェンド”たちがたくさんいます。(次月に続く)