一歩一歩の積み重ね(2)

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先日ある方から、プロスキーヤーの三浦雄一郎さんの言葉を書にしたものを頂きました。
三浦雄一郎さんは今年の10月で米寿の88歳。元々富士山やエベレストからの直滑降を行うなど、プロスキーヤーとして有名でした。しかし57歳で七大陸最高峰からの滑降に成功した後に目標を失い、不摂生な生活を送ったため、精神的にも体力的にもガクッと落ちてしまったそうです。
そんな三浦さんが一念発起するきっかけになったのは99歳の実父(三浦敬三さん)のモンブラン滑降への挑戦でした。90歳を超えて3度も骨折したにもかかわらず、あきらめずに見事モンブランを滑りきりました。父のリハビリの様子を見ていた三浦さんは一念発起し、トレーニングを再開。70歳でエベレストの登頂に成功し、その後75歳、80歳と3度も最高齢登頂記録を更新しました。

これは3度目の登頂に成功した後の言葉だそうです。

これを最初に読んだ時、10年前のイチローの広告が頭に浮かびました。しかし何度も読んでいくうちに、その違いも感じました。
 スポーツ選手として絶頂期にあったイチローの言葉は、「焦らずに一歩一歩成長して欲しい」と、これから未来をつくっていく就職したばかりの新人にぴったりでした。一方で年を重ねて失ったものもある中で、何度もあきらめず挑戦し続けた三浦雄一郎さんのこの言葉は、同じ「一歩一歩」の積み重ねですが、その意味合いは異なります。

「失くしたものを振り返らない、残ったものに感謝しながらそこから出発する。」
 病棟からリハビリの訓練室に向かう途中の廊下の壁に、この書を掛けました。三浦さんの実体験から生まれたこの言葉は、読むたびに胸が熱くなります。
病気で身体が不自由になりながらも懸命にリハビリに取り組んでいる患者さんにとって、この言葉は、きっと自分たちへのエールのように感じられることでしょう。
最後に、今回でこのブログがちょうど100回目を迎えます!!
このブログは2012年10月に、「当法人やリハビリのことをもっと身近に感じてもらおう」と、ホームページの企画として軽い気持ちで始めたものです。
 小さい頃、作文が大の苦手だった私にとって毎月書くことは決して楽ではありませんでした。8年間続けることができたのは、「翌月も書く」という次の一歩を目標にしてきたからかもしれません。大きな目標ではありませんが、一歩一歩の積み重ねが、結果的に100回という数字になったのだと感じています。人生で1つのことがこれほど長く続いたことはないため、自分自身が一番驚いています。
 これも「毎月楽しみに読んでいますよ」と多くの皆様から頂戴する温かい言葉、そして遅筆な私をずっと支えてくれた当法人の広報の皆さんの励ましのおかげです。
 これからも朋和会は、職員一同、一歩一歩進んでいきます。今後もがんばりますので、これからも引き続きよろしくお願いします。101回目もお楽しみに。