皆で頑張る感染対策

ごあいさつ

西広島リハビリテーション病院
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
昨年12月から、広島市の感染が急拡大し、病床ひっ迫がかなり進んでいます。ニュースでご覧になった方も多いと思いますが、この状況を受け、今月8日の1都3県、14日からの7府県に続き、広島市にも間もなく緊急事態宣言に準じた措置が講じられるということです。最近では、救急車を受け入れる病院を探すのに数時間かかる、という話をよく聞きます。
 脳卒中の救急治療では「Time is brain」、すなわち時間との闘いと言われる通り、治療が早ければ後遺症が軽く済む可能性があります。しかしどんなに良い治療技術があったとしても、受け入れる病院が無かったり、探すのに時間がかかって手遅れになったりしたのでは意味がありません。
 マスコミや政治家はコロナウイルスのことだけ取り上げて、病床の不足、さらには「医療者をコロナ対応にもっと駆り出すべき」などと無責任にものを言っている人がいますが、喫緊の課題であるコロナウイルス対応と並行して、コロナウイルス以外の疾患や外傷の患者さんの治療資源を確保しなければ、本当に日本の医療は崩壊してしまいます。
昨年11月21〜23日は「我慢の3連休」と呼びかけられていましたが、宮島や尾道をはじめとした広島県内の観光地に全国から非常に多くの人が訪れました。宮島に向かうフェリーはデッキまで人があふれ、昼時の商店街は人並みで前に進めないほど。原爆資料館も入場整理券が午後3時にはなくなりました。それまで広島は大都市としては感染者が少なく、連休直前も毎日感染者は1桁でした。しかし連休の2週間後には50人を超え、3週間後には連日100人を超える感染者が発生し、あまりの急激な感染者の増加は「地域医療崩壊の危機」として全国ニュースになりました。
 コロナウイルスは勝手に飛んで来るわけではなく、感染した人から人に伝播して拡大します。「Go To トラベルが感染拡大の原因というエビデンスはない・・・」という意見がありましたが、まさにこの広島の状況を見ると、とても関係ないとは言えないでしょう。
この12月の感染者急増を受け、職員の生活圏内にあるスーパーやショッピングセンター、近隣の病院や介護施設だけでなく、職員の同居家族の職場や学校でも陽性者が続々と報告されました。そんな中、HPにも掲載させて頂いた通り、職員の新型コロナウイルス感染が発生しました。普段から感染対策が99%出来ていても、ウイルスは残りの1%の穴をついて入ってきて拡がります。また感染が分かった時にはもう数日が経過しているため、接触した職員・患者さんは多数に上りました。全員の検査結果が返ってくるまでの数日間は、本当に生きた心地がしませんでした。
幸いなことに他の職員や患者さんの感染はありませんでした。今回拡大しなかった要因は職員の感染対応の徹底だけではありません。普段から、患者さんやそのご家族に手指消毒や体調管理、面会や外出・外泊制限など、ご不便をおかけしながらも多くのことを協力して頂いています。今回の件は入院している患者さん・ご家族だけでなく、入所や生活期の利用者の方々全てに報告をさせてもらいましたが、クレームは1つもありませんでした。「他に出なくて良かったね」、「ここまでやっているところは無いから、いつも安心して利用させてもらっているよ」など、たくさんの励ましの声を患者さんやご家族から頂きました。報告して涙、労いや温かい言葉をかけられてまた涙。我々は命の現場で働き、命を預かる仕事であると同時に、それは職員だけでなく患者さんやご家族との協働作業で成り立っていることを痛感しました。

今回職員にとっては、身体的にも精神的にも厳しい数日間でしたが、彼らの素晴らしいチームワークを目の当たりにし、私自身感激するとともに、それを誇らしいとさえ思いました。2020年はコロナウイルスで“失われた1年”と言われましたが、そう考えると昨年は間違いなく我々にとって“変わるきっかけになった1年” です。
 今回最初の山を超えましたが、この先ピンチが何度も訪れることは覚悟しています。しかし、職員・患者さんとご家族が皆で力を合わせて頑張れば、この先の山も必ず乗り越えられると信じています。職員一同がんばりますので、どうぞよろしくお願いします!