プロフェッショナルとアマチュアの違い
ごあいさつ
西広島リハビリテーション病院
病院長
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
小学生の頃、推理小説にハマり、シャーロック・ホームズのシリーズをよく読んでいました。シリーズ短編の第一作目に「ボヘミアの醜聞」という話があります。その中にこういう場面があります。
結婚して新居に移り、医師として開業したワトスンが、往診途中に久しぶりにホームズのもとを訪れます。部屋に入ってきたワトスンを見回し、ホームズはワトスンの置かれている状況を次々に推理して的中させます。その推理の種明かしを聞いてワトスンは、「君の推理の説明を聞くと、話はいつもバカバカしいほど単純で、自分でも簡単にできそうに思える。だがその推理の手順を一つひとつ説明してくれるまでは、私はぽかんとしているだけだ」と言います。そこでホームズは、その部屋に上がる時にいつも通っている階段の段数を尋ねますが、ワトスンは答えられません。
結婚して新居に移り、医師として開業したワトスンが、往診途中に久しぶりにホームズのもとを訪れます。部屋に入ってきたワトスンを見回し、ホームズはワトスンの置かれている状況を次々に推理して的中させます。その推理の種明かしを聞いてワトスンは、「君の推理の説明を聞くと、話はいつもバカバカしいほど単純で、自分でも簡単にできそうに思える。だがその推理の手順を一つひとつ説明してくれるまでは、私はぽかんとしているだけだ」と言います。そこでホームズは、その部屋に上がる時にいつも通っている階段の段数を尋ねますが、ワトスンは答えられません。
“You see, but you do not observe. The distinction is clear.”
(ワトスン、君は見てはいるが観察をしていないのだよ。その差は大きい)
(ワトスン、君は見てはいるが観察をしていないのだよ。その差は大きい)
とホームズが言います。
病院で行われる手術や薬の処方、機械を使った検査などは、限られた人や場所でしか出来ません。しかしリハビリの中で行われる訓練やスタッフが行う介助などは、特別なものを必要としないため、ご家族と一緒にできるように方法を教えます。一見誰にでも出来そうに見えますが、いざやってみると簡単には出来ません。それが我々プロの仕事です。
例えば歩行練習を行う時、一般的には「歩く」練習を想像するでしょう。しかし歩行に関わる要素としては、筋力や麻痺、手足の感覚、関節の動く範囲(可動域)、認知機能、バランス能力、など様々なことが関係します。そのためプロは、歩く練習以外にも、それらの練習も組み合わせながら、効果的にそして効率的な運動プログラムを考えます。これらは単に見ている(see)だけでは気づきません。注意深く動作を観察(observe)してこそ、それらの関係や変化に気がつくことが出来ます。
しかし素人であるご家族でも、観察眼が鋭く、コツを覚えるのが早く、さらには創意工夫をしながら介助できるプロ顔負けの人もいらっしゃいます。またプロフェッショナルでもボーっと見ていたり、単にその動作を繰り返す練習しか出来ない人もいます。プロとアマというより、「腕の差」と言えるかもしれません。
例えば歩行練習を行う時、一般的には「歩く」練習を想像するでしょう。しかし歩行に関わる要素としては、筋力や麻痺、手足の感覚、関節の動く範囲(可動域)、認知機能、バランス能力、など様々なことが関係します。そのためプロは、歩く練習以外にも、それらの練習も組み合わせながら、効果的にそして効率的な運動プログラムを考えます。これらは単に見ている(see)だけでは気づきません。注意深く動作を観察(observe)してこそ、それらの関係や変化に気がつくことが出来ます。
しかし素人であるご家族でも、観察眼が鋭く、コツを覚えるのが早く、さらには創意工夫をしながら介助できるプロ顔負けの人もいらっしゃいます。またプロフェッショナルでもボーっと見ていたり、単にその動作を繰り返す練習しか出来ない人もいます。プロとアマというより、「腕の差」と言えるかもしれません。
先日の新人職員への研修では、注意深い観察に基づき動作を分析し、その相互関係をよく考えることが大切だと講義しました。まだ難しかったかもしれませんが、何年か後に患者さんやご家族から「さすがプロ」と褒めて頂けるような、しっかり“observe”出来る職員に育って欲しいと願っています。