“きれいな”病院 (1)
ごあいさつ
西広島リハビリテーション病院
病院長
病院長
岡本 隆嗣
はじめまして!このブログは患者さん、ご家族の方、一般の方、そして職員にも、 当病院のことをもっと身近に感じていただきたいという思いで作りました。 日々の出来事の中で私が思ったことをつづっていきたいと思います。
先日、ある患者さんのご家族に、「先生、この病院はいつ来てもきれいですね。病院臭さがない。なんか空気まできれいに感じます。」と言われました。確かに当法人の建物は度重なる改装や日々の清掃により、古さを感じさせないとよく言われます。しかしこのときは、“きれい”とは何だろう、とふと考えてしまいました。
9月に開催されたあるリモート会議の冒頭で、「7月から8月にかけての第7波で、クラスター感染を経験した病院はどのくらいありますか?」と進行役が尋ねたところ、全国各地から会議に参加していた15病院のほとんどが手を挙げました。この状況から推測すると、今回の第7波では、日本中の多くの病院・施設がクラスター感染を経験したと言えるでしょう。オミクロン型は感染力が強いというのは知識としては知っていましたが、実際にこの波を経験すると、今までと比較して感染力が桁違いに強く、従来の感染対策だけでは、全く歯が立たなかったというのが正直な実感です。
第7波までの経験を踏まえ、政府は今月初旬に新型コロナウイルスに対する方針を大きく変更しました。1つは全数届出の見直し、もう1つは陽性者の自宅療養期間の短縮です(「Withコロナに向けた政策の考え方」9月8日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)。診療所・保健所業務の逼迫(ひっぱく)解消や社会経済活動の維持が目的とされました。意図はよく分かりますが、特に療養期間の短縮は、医療・介護従事者としては大きな不安が残ります。
現時点のデータでは、陽性者を今までの基準通り10日間で解除した場合、11日目に感染性ウイルスを排出する割合は3.6%である一方で、7日間で解除するとまだ16%(陽性者の約6人に1人)がウイルスを排出していることになります。さすがに入院中や施設利用者が陽性となった場合には10日間の療養を継続する方針になりましたが、問題はそこだけではありません。
現在、医療・介護に直接従事している就業者の割合は全国で13.5%(2022年、国勢調査)、その家族まで含めるともっと多くなります。我々も社会の一員です。自身がどんなに気をつけて予防をしていても、世間で陽性者が急増すると、同居家族が学校や職場で感染するリスクが高まり、家庭内感染が増えます。このような状況で医療・介護従事者自身が感染し、それが発端で第7波では病院・施設のクラスター感染が多発しました。
救急病院の病床飽和や医療崩壊は、病院や診療所の受け入れ容量に問題があるとマスコミでよく報道されますが、現場の感覚からすると、このような働き手の陽性者・濃厚接触者の増加により現場が回らなくなることに原因があるように感じます。従事者だけの対策では限界があります。
この2年半で、マスク・手指消毒に始まり、ゾーニング、面会者の制限、防護力の強いマスクへの変更やフェイスシールドの着用、迅速PCR検査の実施、スタッフが感染リスクにさらされた時の出勤ルール制定など、接触感染(直接触れることで感染する)や飛沫感染(咳やくしゃみなどの“しぶき”を吸い込むことで感染する)対策として考えつくことは全てやってきました。しかしオミクロン型は、このような何重もの対策のバリアをいとも簡単にすり抜け、エアロゾル感染(飛沫よりも小さい粒子がしばらく空気中を漂い、それを吸い込むことにより感染する)を起こしているとしか思えないような広がり方をしました。
9月に開催されたあるリモート会議の冒頭で、「7月から8月にかけての第7波で、クラスター感染を経験した病院はどのくらいありますか?」と進行役が尋ねたところ、全国各地から会議に参加していた15病院のほとんどが手を挙げました。この状況から推測すると、今回の第7波では、日本中の多くの病院・施設がクラスター感染を経験したと言えるでしょう。オミクロン型は感染力が強いというのは知識としては知っていましたが、実際にこの波を経験すると、今までと比較して感染力が桁違いに強く、従来の感染対策だけでは、全く歯が立たなかったというのが正直な実感です。
第7波までの経験を踏まえ、政府は今月初旬に新型コロナウイルスに対する方針を大きく変更しました。1つは全数届出の見直し、もう1つは陽性者の自宅療養期間の短縮です(「Withコロナに向けた政策の考え方」9月8日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)。診療所・保健所業務の逼迫(ひっぱく)解消や社会経済活動の維持が目的とされました。意図はよく分かりますが、特に療養期間の短縮は、医療・介護従事者としては大きな不安が残ります。
現時点のデータでは、陽性者を今までの基準通り10日間で解除した場合、11日目に感染性ウイルスを排出する割合は3.6%である一方で、7日間で解除するとまだ16%(陽性者の約6人に1人)がウイルスを排出していることになります。さすがに入院中や施設利用者が陽性となった場合には10日間の療養を継続する方針になりましたが、問題はそこだけではありません。
現在、医療・介護に直接従事している就業者の割合は全国で13.5%(2022年、国勢調査)、その家族まで含めるともっと多くなります。我々も社会の一員です。自身がどんなに気をつけて予防をしていても、世間で陽性者が急増すると、同居家族が学校や職場で感染するリスクが高まり、家庭内感染が増えます。このような状況で医療・介護従事者自身が感染し、それが発端で第7波では病院・施設のクラスター感染が多発しました。
救急病院の病床飽和や医療崩壊は、病院や診療所の受け入れ容量に問題があるとマスコミでよく報道されますが、現場の感覚からすると、このような働き手の陽性者・濃厚接触者の増加により現場が回らなくなることに原因があるように感じます。従事者だけの対策では限界があります。
この2年半で、マスク・手指消毒に始まり、ゾーニング、面会者の制限、防護力の強いマスクへの変更やフェイスシールドの着用、迅速PCR検査の実施、スタッフが感染リスクにさらされた時の出勤ルール制定など、接触感染(直接触れることで感染する)や飛沫感染(咳やくしゃみなどの“しぶき”を吸い込むことで感染する)対策として考えつくことは全てやってきました。しかしオミクロン型は、このような何重もの対策のバリアをいとも簡単にすり抜け、エアロゾル感染(飛沫よりも小さい粒子がしばらく空気中を漂い、それを吸い込むことにより感染する)を起こしているとしか思えないような広がり方をしました。
これからの季節、空気が乾燥してくると飛沫や粒子が遠くまで飛びやすくなり、また寒くなると「換気」が不十分になります。次の“波”ではエアロゾルを通じての感染拡大が心配されます。今後の対策では今まで以上に換気の細かい部分にまで気を配り、空気の流れを制御する必要があるでしょう。(次回につづく)